2018年 06月 25日
南大塚萬重宝アーカイブ・2003年8月号
*****ミナミオオツカヨロズチョウホウ*****
*******南大塚萬重宝***2003年8月1日号***
ヘッドラインニュース
北口の立ち飲み屋が、店名を『秀吉』と変えた。オーナーが変わったのかどうかは分からない。以前は『信長』という名前だったのだ。もしまた改名することがあったら、その名前は言わずもがな、である。その近くに『りょうま』という焼鳥屋もある、侍の町大塚である。
最近見かけないので寂しいのだが、休日になると、都電の停留所近くでズボンを売るおじさんがいた。スラックスとかパンツとかいう代物ではなく、まさに「ズボン」を道端で売るのだ。奥さんとおぼしきサクラが近くにいて、人が寄ってくると「あら、安いわねぇ」的な台詞を吐く、素敵な露天商だ。
近頃巷に増殖し始めた99円ショップが、ご多分に漏れず大塚にも2軒ある。そのうちの1軒は、元々『越路屋』という老舗の酒屋だったが、マンションを建てたのを境にコンビニ風にし、更に99円ショップに衣替えした。同じ折戸通り沿いにある文京高校の生徒御用達の店だ。
南口プラタナス通りにあるスーパー・ライフの斜前に、ペットフード&グッズ屋がある。しかし僅かだがペットも扱っていて、店が閉まると、入り口の真ん前に小ぶりの檻が置かれ、レトリバーらしき子犬が悲しそうにうずくまっている。その脇では、ネズミだかモルモットだかが、小屋を駆け巡る。
大塚物語
昔、北口駅前のガン研通り沿いに『おきな』という和菓子屋があった。私が都電に乗って小学校に通っていた頃の話だ。やや広めの間口に木製建具のガラス戸が数枚入って、その古めかしい戸をガラガラと開けると、店の中央に、見るからに大黒柱という感じの、太い柱が天井に向かって伸びていた。
和風ゼリーといった趣の「おきな餅」が売りで、結構遠くからお客がいていたという。しかし、私にとってここの羊羹の旨さは格別であった。世間に有名な和菓子屋はいくらもあり、羊羹もドッサリ出回っていたが、私は絶対『おきな』の羊羹以外は、食べようとも思わず、食べても美味しいとは思わなかった。
この店舗の裏にはちょっとした中庭があり、その奥に作業場があった。朝はいつもおじさんが餡を練っていた。これがあの美味しい羊羹になるのかと、眺めていたものだ。この家には息子がふたりいて、長男は銀行員、そして次男が店を手伝っていた。私は、すでに大人だったその次男と、よくキャッチボールをしたものだった。
しかしある時を境に、親子喧嘩が聞こえるようになった。その息子が飲酒か薬を原因として精神を病み、暴力をふるうという噂も聞くようになった。父親が度を過ごした吝嗇という評判も立っていた。
『おきな』は店を閉じた。私的には東京で一番美味しい羊羹が、こうして二度と食べられなくなった。
その後その敷地には『すずしろ』という割烹が出来たり、『京錦味』の作業場になったりしたが、どうにも長続きしない。区議会選挙時には、某候補の選挙事務所になったが、当時現役だったその候補者は落選した。暫くの更地時代を経て区の駐輪場となったが、再び模様替えとなり、今は定番コインパーキングとなった。
あれから数十年の歳月が流れた。私が通学で使った都電も遙か昔に消えた。あの羊羹は、本当に美味しかったのだろうか・・・
編集後記
TBSTV日曜の朝5時半から放映している『東京ウォーキングマップ』という番組に、出演することになりました。先日、そのロケで上野から御徒町、鳥越、浅草橋界隈を歩いてきました。8月23日放映予定です。しかし朝5時半というのは、とてつもなく健康的な人か、激しく不健康な人だけが起きている時間帯ではないでしょうか? よろしかったら(もしくは可能でしたら)ご覧になって下さい。偉そうに能書きをたれております。
#####ミナミオオツカ・ヨロズチョウホウ#####
誇張スレドモ嘘ハツカナイ
変酋長・タカノヒロシ AB型 六白金星
###愛ノ町、大塚ノ今日ヲ貴方ニダケ伝エル###
by go-go-shiosenbe | 2018-06-25 17:10 | 南大塚萬重宝